◇【BS-TBS Song to Soul】#99 プライベート・アイズ / ダリル・ホール&ジョン・オーツ
2015-07-20



Daryl Hall & John Oates - Private Eyes


BS-TBSのSong to Soul、2015年7月15日の放送はダリル・ホール&ジョン・オーツの「プライベートアイズ」だった。
この曲は80年代を代表するヒット曲であることは、この曲をリアルタイムで聞いた人は誰も異論はないところだと思うが、しょっちゅうラジオでかかっていたせいか、好き嫌いは別としてすっかり身体に染み付いてしまっているような曲だと感じる。
個人的には白人が歌うソウルはあまり好きではなく、ブルー・アイド・ソウルと称されるカテゴリーの代表みたいなダリル・ホール&ジョン・オーツも積極的に聞きたいミュージシャンではなかった。
ただ、時間が経ってあの時代を懐かしく思う年代に入って、あの頃普通にいつも聞いていた曲を懐かしく思うと共に、なんとなく頭の中から自然と口をついて出てくるような曲であると、今は思う。
ヒット曲というのは、本当に時代を象徴し、好き嫌いを超えた存在なのだ。
この曲は、そんな楽曲の一つであると思う。

Song to Soulの番組の中では、作曲者のウォーレン・パッシュと共著者のサラ&ジャナのアレン姉妹についても時間をかけて紹介されていた。
この曲自体は、最初はジャナ・アレンが自分のアルバム用の曲を探しにパッシュの元を訪れた際に提供された曲だったことなど、興味深い内容だった。
ジャナ・アレンはすでに他界していて、番組ではダリル・ホールの奥さんだったサラ・アレンにインタヴューを申し込んだようだがそれは叶わず、彼女からは一本のTDKのカセットテープが提供された。
そのテープに入っていたのは、ジャナがパッシュと共に作り上げた、「プライベートアイズ」の原曲ともいえるテイクだった。
私はその曲を聞いて、これはこれでよかったんじゃないかと思ってしまった。
荒削りでガサガサのその音源は、完成度の高いダリル・ホール&ジョン・オーツとは違う魅力を放っているのだ。

ジャナ・アレンという人は、ダリル・ホール&ジョン・オーツの「キッス・オン・マイ・リスト」の作曲者でもある。
シンガー・ソングライターを目指していた彼女に試しに作ってもらった曲が、ダリル・ホール&ジョン・オーツのミリオンヒットになったということらしい。
当時は、大ヒットした「プライベートアイズ」や「マンイーター」よりも、「キッス・オン・マイ・リスト」の方が好きだった。
ただ、「プライベートアイズ」が出た当時、「キッス・オン・マイ・リスト」と印象が似ているとずっと思っていた。
特に興味もなかったので調べてみることもしなかったのだが、今回の番組でどうして当時そう思ったのか理解できた。
パッシュの作った曲に、ジャナ・アレンのエッセンスをふんだんに取り入れて、これは彼女のための曲として一度は完成されたものだったのだ。
「キッス・オン・マイ・リスト」はジャナ・アレンの曲だから、作曲者が違えど彼女が自分で歌うために彼女が手を加えた曲だから、印象が似ているのは当り前ということなのだろう。

どういう経緯でこの曲がダリル・ホール&ジョン・オーツの曲になったのかは詳しくは語られなかったが、パッシュが発表された自分の曲を最初は否定的に見ていたことなどを考えると、パッシュ自身もジャナと作ったバージョンの方が本当は気に入っていたんじゃないかと思ってしまった。
それでも、ダリル・ホール&ジョン・オーツのバージョンが良くなかったということではないし、あれはあれでキャッチーなアレンジが受けて長く心に残る曲になったのだから、パッシュにとってもジャナにとっても悪くない結果だったのかもしれないが。

私が聞いて魅了されてしまったジャナ・アレンの音源をここで紹介したいのはやまやまだが、著作権に抵触するので、BS-TBSがサラに許可を得て番組HPなどで公開してくれることを願うばかりだ。


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