◇頼むから一発できめてくれ
2006-06-08


私は注射が嫌いだ。
皮下注射なら、注射をしているときの痛みさえこらえればいいのだが、血管注射となるとそうはいかない。
私の血管は細くて、つるつるしていて、しかも中にうまっているので、大変探しづらいのだと採血する人は必ず言う。
中にうまっているので、皮膚から針を入れた後、下手な人は必ず中で針を動かして血管をさぐるのだが、これが痛い。
動くなと言われても、痛みによる条件反射で逃げてしまう。

だいたい一発で血管に入ったことなど稀で、たいてい両腕両方とも針を刺されることが多い。
いつも同じ場所で採血するので、私の皮膚の血管位置には無数の針痕が残っている。
一度の採血で失敗した数としては、今までで最高は10回だった。
右腕3回、左腕3回、左手首2回、右手首1回でもだめで、最終的には手の甲になる。手の甲はさすがに皮膚が薄いので、激痛が走る。

数年前救急車で運ばれた私のレントゲン写真を、当直のインターンの医者は、あろうことか左右見間違え、あとでえらいめにあったことがあるが、なんの因果かその医者が外来スタッフに入ったときに、私の担当医になったのだ。
ある年入院した際に、病室で採血したのだが、10回の最高記録を作ったのもその医者だった。
腹が痛くて入院したのだが、腹の痛みも耐えかねる上にその所業に、私はベッドの上でのたうち回り、「頼むからもう辞めてくれ」と病室で叫んでしまった。

あきらめたその医者は、自分の上司に報告し、後に上司医者が病室にやってきた。
「S先生より上手でないといやです」と言う私に、「あいつよりはキャリアがあるからずっと上手だよ」と笑いながら言った。
たしかにS医師よりは上手だったが、その医者も3回失敗し4回目でやっと成功した。
[日常]
[ふざけるなよ!]

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