2006-06-08
昔は犬が嫌いだった。
小学生の頃そろばん教室に通っていたのだが、そこの周辺に野蛮で有名な野良犬がいた。
近所の子供が追い掛け回されたという話を何度も聞き、親からは「犬にかまれると狂犬病になって気が狂って死ぬ」と言われたので、その恐怖は絶大なものだった。
ある日そろばん教室に行ったとき、同じクラスの友達Kが「さぼって遊ぼう」と言う。
つい口車にのせられて遊びに行こうとすると、例の野良犬がおいかけてきた。
泣きながら友人Kと二人で走ってにげようとするが、友人Kはクラスでも1、2を争う足の速さで、とうてい私はおいつけない。
あたりまえのように私は野良犬のターゲットになり、いきおいあまって前のめりに転んだところを、犬が背中にのって顔の匂いをくんくんかいだ時の恐怖は、口では言い表せないものだった。
それから犬が嫌いになった
十数年前に、神奈川県の大山に行ったときのこと。
行きはケーブルカーで行き、帰りは山道をてくてく歩いて下ったときのことだ。
後ろにでかいブルドックを連れてハイキングに来ている家族連れがいた。
それを見たとき、山道で疲れていたこと、犬がでかかったこと、うしろにぴったりとついてきていることなどから、小学校の時の野良犬に襲われたことを思い出してしまった。
最初はこわごわ歩いていたが、ブルドックが私の足に鼻をつけたのをきっかけに、恐怖は最高潮に達してしまった。
大の大人が泣きながら、「怖いよ〓」と叫びつつ、山道を走り降りたのだ。
ブルドックの飼い主は笑いながら、「ごめんなさいね」と謝ってきたが、たぶん私の所業は大変おかしかったに違いない。
今思うと顔から火が出るほどはずかしいが、怖いものは怖いのだ。
現在は、友人に犬を飼っている人が多く、家に遊びに行くと襲われる(犬にしてみれば、遊ぼうと思ってなついてくるのだろうが)ので、とても「嫌いだ」とはいえなくなってしまった。
そして、そのうちに犬に接するということだけはなれてしまった。
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