◇「紙芝居の絵の町で」〓劇団唐組〓
2006-06-13


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公演当日、紅テントの前にあった公演ポスター

6月10日土曜日の新宿花園神社で行われた、唐組の「紙芝居の絵の町で」を見に行った。
天気はあいにくの雨模様。
17時頃花園神社に到着し、チケットを整理券と交換する。
時間まで食事をし、18時30分に花園神社に戻ると、すでに整理券順の行列ができていた。
私達は最後の列に並ぶことになった。

テントに入り、舞台右側の後ろの方に座る。
唐組の公演は、赤いテントの中で行われ、座席は地べたにござをひいたものなので、いつも座ぶとんを持参する。
観ている途中で足と腰が痛くなるため、「もう少しつめてください」という劇団員の案内を他所に、申し訳ないけれど多少身動きができるスペースを確保してしまう。

今年の題材は紙芝居である。
紙芝居の絵描きと、ある紙芝居の絵に固執するコンタクトレンズの販売員、弁当屋の店員、映画の看板描きなどが登場し、幾重にも織り成されるエピソードの中で話が展開されていく。
今年のポイントは「眼」のようだ。

話が4分の1ほど進んだ頃、唐十郎の登場である。
いつも唐十郎は、突拍子のない形で登場するが、今年は竹の子の上に寝ての登場であった。
いつもと違っていたのは、登場するときのBGMに口琴が使用されていたことだった。

今回観た舞台はいつも年より登場人物が多く、コンタクトレンズの販売員“牧村真吾(稲荷卓央)”と、女装の紙芝居の絵描き“情夜涙子(辻孝彦)”、そして弁当屋の店員“染井るいこ(藤井由紀)”によるエピソードと、映画の看板描き“群青疾風(丸山厚人)”と“名雲ひとみ(赤松由美)”のエピソードが、現実と非現実の世界の中で入り交じりながら絡んでいく。
それぞれの話のキーマンになるのが、介護会社の男“味夜(鳥山昌克)”だ。

話の内容はいつも難解で、意味があるのかないのかさえ判らない。
ただ、壮絶なまでのテンポで話はどんどん突き進んでいく。
今年は登場人物が多く、二つの話の中で主演もそれぞれ男女一人づついるような形になっており、9年唐組の舞台に通っている中でこういう展開はめずらしいのではないかと思った。

稲荷・藤井の主演の話が多かった中で、2〜3年前から重要な役を勤めるようになってきた丸山・赤松のコンビが良い味を出している。
ルックスも稲荷・藤井がどちらかというとさっぱり系なのに対し、丸山・赤松のコンビは大変濃い印象がある。
丸山を舞台で最初に見たときは、ずいぶんと顔も演技も存在感も濃い人が出てきたなあと思ったが、2004年の「津波」ではコミカルな演技も見せ、ふだん背中に何か暗いものを背負って苦悩しているような役が多かっただけに驚かされた。

実を言うと、今年は公演に行くのを見合わせようと思っていた。
唐組の公演は、関東ではいつもゴールデンウィークの次の週あたりから 始まるのだが、ちょうどその頃は都合がつかず、6月に入ると天気の悪い日が続くので、テントの中での観劇はちょっときついと思ったからだ。
しかし、世の中は唐十郎を見直す動きを見せているようで、5月7日日曜日TBSの「情熱大陸」という番組で唐十郎の特集をやっていたのだ。
状況劇場から唐組に至る簡単なストーリーから、今回の公演での稽古、そして大阪の公演に至るまでのドキュメンタリー。
アングラとメジャーを行き来する唐十郎の元で、ひたすらアングラの中で唐十郎の世界を表現しようとする劇団員の話は、大変興味深かった。
そして、急遽まだ間に合う6月の公演のチケットをとることにしたのだ。

これまで観た唐組の話の中では、今回のストーリーは比較的解りやすかったように思うが、唐組の魅力である壮絶なテンポは、どんどんとヒートアップしているようにさえ感じ、今年も観に来てよかったと思ったのだった。



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