◇東大裏で田渕由美子展を観る
2021-07-05


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2年ぶりに、根津の東大裏にある弥生美術館・竹久夢二美術館に足を運ぶ。
毎年楽しみにしている、70年代少女漫画の原画展に行くためだ。
今年は田渕由美子。りぼんおとめちっく三人衆の一人だけれど、わりとポジティブで少しコンプレックスの陸奥A子に比べて、田渕由美子の主人公はどっぷりコンプレックスだったので、当時はあまり好きではなかった。勉強もできないし色気のないガリガリチビ、ドジで奥手で引っ込み思案という感じ。いつも泣いていて、のっぽで勉強ができる顔の良い彼氏になぐさめられるというのが定石パターンだった。
でも、テーマはわりと深い内容のものが多く、気づくと印象に残る作品ばかりだった。

いつもご一緒する友達は、同居する高齢の母親のことを考え、まだしばらく東京遠征は控えたいというので、今年は1人で根津に行った。
いつもは2人で何かおいしいものを食べようと、あれこれ街を散策するのだが、今年はどうしよう。
地下鉄の根津駅から東大までのゆるい坂道には、めぼしい食べ物屋は少ないので、東大とは反対の不忍通りを千駄木の方向へ足を運ぶ。ここいらは、安くて下町っぽい食べ物屋が多くある通り。でもまだ緊急事態宣言が明けたばかりで東京はまんえん防止期間中。閉めているお店も少なくないかなと思ったり、早めに展示を見て早く帰りたいと思ったりで、13時頃根津についてそのまま一番最初に目についたカレー屋に入ることにした。

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そこのカレー屋は以前から気になっていたお店だったけれど、なんとなくずっと入らずにいたお店。ひとりにはうってつけ。
お店の名前は、根津カレー Lucky (ラッキー)。
お店の看板と、ウインドウに描かれた食材の絵がレトロでかわいい。

最初に出されるしょうが湯がほっとしておいしい。お店のメニューには、特製ラッキーカレーと、ラッキーカレーの辛口、そして魯肉飯がある。最近カレーと魯肉飯のあいがけというのもやっているというので、それにしてみた。カレーには焼きチーズのトッピングもプラス。
厨房から出たところで、お店の人がチーズをバーナーで焼いてくれる。魯肉飯の台湾っぽい香りと、カレーの香ばしい香り、チーズの焼けた香りが食欲がそそられる。
「こちらもどうぞ」と福神漬けを運んできてくれ、それが昔ながらの赤い福神漬けなのが嬉しかった。この福神漬けはこのカレーにとてもマッチしている。

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特製ラッキーカレーと魯肉飯のあいがけ焼きチーズトッピング

ランチの時間帯もすっかり終わったせいか、お客は私一人。あとで学生さんぽい人が、テイクアウトで来店した。
ふと壁を見ると、一面ずらっと漫画が貼ってある。
絵柄とストーリーは80年代のガロ系っぽい雰囲気。ひとつひとつ絵のスタイルが違うので、お店の人に聞くと一人の作家が書いているのだという。
Twitterに漫画を描いている人で、猫田まんじまるという人の作品らしい。
お店の人は、この人の漫画が好きで応援しているのだと話してくれた。
掲示してある絵を見て、なんだか少し昔を見ているような気がして、タイムスリップしたような気持ちになってしまった。

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展示してある猫田まんじまるの漫画
Twitter @nekota_1004 猫田まんじまる

東大裏へ向かうゆるい坂道に戻り、銀杏の木が実をつけているのを仰ぎ見る。
ここは秋になると本当に臭くて閉口するのだが、まだ固くなる前の銀杏の実は秋ぐみのようでかわいらしい。

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