もっと近い場所の人たちが避難していないのに、40kmも離れた場所への影響がどういうものなのか情報もほとんどなく、ただ「東海村で原子力事故が起きて人が死んだらしい」ということしか、当時は判らなかった。
その時学生だった彼女は、その後東海村の原子力施設で働くことになった。技師ではなく、事務職員としてである。
電話で「原子力施設にいて半端な知識があるので、福島原発事故による都内の放射能数値で、大騒ぎしているのが不思議に思える」と言っていた。
私もつくばの研究所にいて、原子力関係の研究者と友達になったりして、東海村の事故の話をいろいろと聞いたりしていた。
本当かどうかはわからないが、東海村の放射能と今回の福島のものはちょっと種類が違っており、東海村のときの方がやばいものだったという話も聞く。
少なくとも今日都内や神奈川あたりで飛んでいた放射能よりも、ずっと多い量をつくばであびているだろうと思われる。
それでも、この11年特に放射能が原因で身体の具合が悪くなったということはなく、花粉やタバコが原因の症状の方がよっぽど辛い。
昨日の夜に放送していたNHKの放射能の説明で、CTスキャンなどの被爆の量を見ると、今日あちこちに飛んでいた放射能の量の話ではない量であることを知る。
腸閉塞で入院したとき、医局とレントゲン室との連絡ミスで部位を間違えて撮影してしまい、何度もレントゲンとCTを取り直したことがあるが、あれは一日でどれだけの被爆をしたのだろうかと思うと、ちょっとぞっとしない。
それよりも何よりも、東海村のときは、人が死んでるのに誰も事故をどうにかしようとしなかったらしい。
誰かが「おまえらがやらないで誰がやるんだ」と叱咤したことで、やっと事態収拾に動いたらしい。
もんじゅのときも、柏崎狩場のときも、会社は極力情報を隠そうとしていた。
正しい情報など、事故が収束してからポロポロと出てきた。
今回は原因が地震だとはっきりしているとはいえ、東京電力のエンジニアが全力で作業にあたっている。
地方の原子力発電所の作業員にも募集を募り、定年まで半年の技術者が志願して福島に向かったとのニュースも読んだ。
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情報が少なすぎるとか、遅すぎるとかいろいろ批判はあるが、政府も必要と判断された情報を流している。
こういう事態で少なすぎる情報も不安だが、多すぎる情報はパニックのもとだ。
いろいろと批判のある政府だが、今は信じるしかない。
こういう事態になって、放射能が気になるのも理解できる。
逃げることができてその場所がある人は、逃げればいいと思う。
でも、さわいだところで私たちには何もできないのだ。
それよりも、自分の身を挺して作業にあたっている技術者や自衛隊の人たちが、無事に作業を終えて、最善の結末を迎えられることを祈ることしかできない。
そして、原発事故で避難勧告が出た地域の、一回り外側の地域の人たちの方が、それより遠く離れた地域よりもずっと恐怖であることも、認識すべきだと思う。
東海村の事故の時も、事故の後は地元の人たちはみんなどっしり構えて、慌てた様子はなく、外から入ってきた人がそわそわと落ち着かない様子だった。
でも、地元の人があわててないのだから、とみんな平静を取り戻していったのだ。
地元の人たちが不安じゃなかったわけではないだろうが、あの人たちは原子力施設ができたときに、ある程度の覚悟みたいなものがあったのかもしれないと、今は思っている。
騒いでも落ち着いていても結果は同じだと、茨城県で被災した彼女と電話で笑いあえたことが、とても心強く嬉しかった。
明日の停電は9時20分から13時。
旦那の会社は停電エリア除外区域に指定され、明日から通常勤務となるらしい。
私も午前中から病院に行くが、ちょうど停電時間内なのでどうするのか。
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