◇26年ぶりに友達に会い、原点に帰る。
2018-05-29


最初に再開したときの笑顔も、今の境遇を愚痴るつもりが真剣な話になってしまい弱気な顔も、本当に変わっていないのだなあと思う。
ただ変わったのは、昔は漠然とした悩みだったのが、今は具体的な悩みであることくらいだろうか。

老舗の中華料理屋で注文しすぎて満腹中枢はちきれる中で、次の再開を約束し都営新宿線と三田線が分かれるところで彼女と別れた。
神保町、九段下は、東京で本格的にやりたい仕事を始めた街だ。
学校時代の授業も、御茶ノ水の本館ではなく、神保町に近い今はない別館が多かった。
お腹がすけばいもやで500円の天丼か天ぷら定食をかきこみ、キッチンジローで今はきっと食べきることもできない洋食の定食を食べ、日本でもまだ数少なかった回転寿司で先輩と皿の数を競ったりもした。
紙を買うにはすずらん通りの裏に行き、写植を頼みに馴染みの写植屋に行って出されたお茶でさぼったりもした。

懐かしい友人が、今は子供のことより長く続けた仕事のことで悩んでいる。
私もこの年になって、今のこの中途半端な状況を悩んでいる。
バブル目前のあの頃も、このままここで自分ができる仕事などあるのだろうかと悩んだりした。
とりあえず、食べられることが幸せだと思った。
にっちもさっちもいかなくなって、地元に戻ろうと思ったこともある。
結婚した相手も北海道の人で、なんとなく結婚してもまだ北海道に帰ることがあるかもしれないと思いながら過ごした。

26年ぶりの友達に会って、原点の場所でなんとなく、自分はそれでもここにいるんだなあと、そんなことを思いながらあの頃とはまるで反対方向の家路についた。

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